Alan C. Kay

今日,大学にAlan C. Kay氏*1が来ているということで講演を聴きに行きました.主な内容としては彼が主導している"SQUEAK"というシステムに関する解説でした.感心したのはそのシステムの開発の動機です.近所の人や友人に「最近新しいコンピュータを買ったんだ.でも以前より起動するための時間が長くなっているんだ!なぜなんだ?」(新しいOSに乗り換えた途端,最新型のコンピュータにも関わらず逆に起動時間が長くなったりすることってありますよね・・・)と尋ねられた,また自分の中の疑問として「ネットワークではコンピュータをたくさん繋げることでどんどん大きくできる(つまりスケーラビリティがある).じゃあ自分のコンピュータの中のシステムでは同じような事ができないのだろうか?」「子どものための(教育的な)コンピュータシステムというのは作れないか」・・・などこのような疑問を積み重ねて,それらを解決する形でそのシステムが出来たらしいです.一つ一つの疑問にそれぞれ答える形でシステムを作り上げるのではなく,そのような一見全然違う方向性のアイデアを自然な形でまとめ上げ,しかも有用な素晴らしいシステムを実現できるというのは凄いですね.

*1:2003年Turing賞受賞者.オブジェクト指向ダイナブック構想などの提唱で有名.