ランダム行列の行列式

  • Terence Tao and Van Vu, "On random \pm 1 matrices: Singularity and Determinant"
  • Terence Tao and Van Vu, "On the singularity probability of random Bernoulli matrices"

最近,(あまり進んではいないのですが)ランダム行列の解析に興味を持っていまして,学生さんと一緒に上の論文二本を頑張って読み解いているところです.前者の論文は各要素が確率1/2で +1 か -1 であるランダム行列の行列式の期待値が  \sqrt{n!} \exp(O(\sqrt{n \log n})) で,行列式が非ゼロである確率が  1-0.939^n 以上となることを示しており,後者の論文では同じランダム行列の行列式が非ゼロである確率が  (1-(3/4+o(1))^n) であることを示しているようです.

両方の論文とも激しい解析を駆使しています.特に後者は additive combinatorics の技法をかなり含んでいるようです.